2018/10/30
「自由」の花が 咲き誇る
そんな時代に 小学生
奥様魔女の アメリカと
比べ憧れ 好景気
「自由」頂く 政党で
ノーベル平和の 総理出る
立身出世 野望にて
自由拘束 派閥人
森鴎外の 「高瀬舟」
川面に見ゆる 小魚の
自由な群れを 何と書く
「不自由千万」 意図深し
彼の日岩手は 釜石の
海を臨んだ 護岸立つ
自由の女神 波を受く
足元流れ 胸像に
自由暮らしの 無職者が
時間つぶすに 上野まで
銭のかからぬ 公園で
マンハッタンの 姫と逢う
津波に耐えた シンボルは
今は復興 大使殿
「自由の女神」 名を変えて
「自由な女神」 しばし見上ぐる

2018/10/28
スカイツリーの 肩の高
月に一度の 満月が
名月呼ばぬ この月に
カメラ向けるは 我一人
見た目地球の 隣り町
ちょっとそこまで ぶらり旅
ママチャリこげば 何年に
何周分の 赤道か
宇宙の距離は 膨大で
物差し作る 竹足りず
「光」単位で 測りたる
1光年も 寿命無し
距離をはかるは 「測る」とし
時間はかるは 「計る」とす
月まで距離を どうはかる
図り事ぞと 傍観者
さて見あぐれば プレアデス
「昴」の名前 人ぞ知る
都心いささか 色淡く
目印探す オリオン座
光直進 するものと
光速単位 宙ロマン
真っすぐ飛ばぬ 量子学
それを歪曲 重力波
光で映る モノを見る
判断するは 個々の脳
光は曲がる 真実を
許容範囲と 受け流す
真っすぐ生きたい 人が居る
その直線に 疑問符は
光も曲がる 物理学
パワハラ妥協 処世術
我の姿は どう映る
見るに短足 不満足
光が曲がる 真実に
我の正義を どう映す

2018/10/25
雷門で 決めポーズ
レンタル着物 アジアっ娘
つま先出るの 違和感は
撫子角度 真似出来ず
仲見世通り 中国語
注意放送 エンドレス
漢字の国の 言葉でも
カタカナ言葉 置き換えり
永く国交 持ちた国
なのに分からぬ 大陸語
欧米人には 英語版
禁止告ぐるは 食べ歩き
香がむせ来る 境内へ
人種体臭 コロン臭
瞑想観音 片目開け
祈り願いに 舌を出す
平和国家を 前提に
国内旅行 渡来人
歴史興味の 糸先を
手渡しするは バスガイド
仕事何でも 聞いてくれ
無口親方 見て盗め
駆け出しヒヨコ プロの道
教習ツアーの バスも着く
修学慰安 バスの旅
日帰りツアーは 四季の味
その折々で 展開す
笑顔さずける 人となれ

2018/10/21
「今夜が山」と スマホにて
残念そうに 告ぐる人
坊主頭に ジャージ服
入院患者の 憩いの間
タオルパジャマに 外来着
燃していいかと 許可の談
受け来る言葉 反復す
どうやら北の 方らしい
葬儀費用は そちらから
電話交渉 行き詰まる
身内見捨てた 鼻つまみ
やんちゃ気ままの 成れの果て
我のむくろは いかがなり
生まれながらに 身寄り無し
戸籍書面も 他人様
無縁仏が 末路かな
総合病院 医者が居て
食材業者 洗濯屋
自販機補充 メーカーに
葬儀業者も 常駐す
今日もジャージの 坊主君
葬儀社派遣 葬儀者で
葬儀車手配 電話乞う
彼には送り 仕事なり
緊急自動車 入り来て
玄関先に 赤色灯
彼のノルマは 果たせたか
黒塗りワゴン 今日も出て行く

2018/10/18
小便取ると 尿瓶見す
看護婦さんに 無理を言い
点滴吊るす 棒で立つ
脳の手術の 五時間後
朝の巡回 医者に聞く
脳が変形 硬膜下
穴を開けたは 頭蓋骨
道理で風が スースーす
記憶障害 失語症
左脳圧迫 血が抜けて
先日他界 ヤングマン
いずこへ出るか 後遺症
入院ベッドの お引越し
次の危ない 人のため
点滴歩行 リハビリで
前居た部屋に 家族見ゆ
シャワーの許可が おりる頃
テレビ有料 金は無し
夜に寝付けず 早朝の
眼下公園 体操歌
入院時間 一日は
五分経つのも もどかしく
妥協したるの 楽しみは
最低限の 食事なり
頭部親指 抜くる穴
江戸っ子気取り 宵越しの
銭を持たずの この先を
リアルに映す 風通し

2018/10/17
三日の記憶 曖昧で
確か町医者 紹介状
何処で拾った タクシーに
届られたは 御茶ノ水
断片記憶 糸ほどく
寝かされポーズ スキャンなり
そこでももらう 紹介状
頭痛が勝り 愚痴も無し
死ぬほど疼く あたま痛
稲荷町駅 階段を
手摺り頼りに 斜向して
見ゆる景色に 人が除く
すがる思いで 受付へ
渡す封筒 中知れず
看護婦二人 運び来る
キャスターベッド エレベーター
緊急手術 抑えられ
頭皮メス入れ めくり上げ
ドリルの音と 焦げ臭き
頭蓋骨には 穴が開く
ナースセンター 前の部屋
緊急患者 対応す
ヤバイ病室 点滴と
脳の血受ける 袋見ゆ
地獄極楽 自己審判
せいぜいいいとこ 中の上
死後の世界の 幻想夢
河原乞食の 夢を見る
神理説く声 何者ぞ
この世学びと なす意図を
姿見せずに 降り注ぐ
あの世この世の 境界線
渡りたいのは 郷愁か
戻りたいのは 未練かな
魂のみの 里帰り
舟乗る銭が 足らず今在り

2018/10/11
豪雨山肌 滑り落ち
泥流岩木 谷川を
転がす嵐 おののけぞ
水が澄む頃 鮎戻る
夜中に過ぎる 暴風雨
将棋倒しの 自転車を
起こしに来ぬは 寝不足か
台風一過に 蝶が舞う
被災す街も そうであれ
すさんだ心 そうであれ
小粒命に 諭される
朝日温もり 胸で受く

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