2019/3/31
桜三月 末日は
花冷えコート 前をしめ
荷物になった マフラーは
主役の幹に 巻いてやり
隅田公園 対岸の
自治区で開く 露天商
恒例おでん 川景色
屋形船から Jポップ
行きかう人の 合間見て
遊歩に落ちた ひと花を
インスタ映えは しない絵図
しゃがみ込みての 接写かな
それが不思議に 見えたのか
声を掛け来る ご婦人に
最初の開花 誉めらるが
最初に落ちる 花も有り
サラリ流せば 縁も無く
一声発す アクションで
一回生起の 「場」が生ず
私病の話し 長話し
牛島神社 ところ変え
日本庭園 池を背に
「水戸藩」なのか 問う声に
にわか案内 ボランティア
先細りなる 人生で
来年見れるか 川桜
心もとさを 繰り返し
明日には分かる 新元号

2019/3/25
巨人大鵬 玉子焼き
買ってもらった 野球帽
なぜか巨人の マーク入り
チビッ子野球 こだわらず
白黒テレビ 球児達
津久見が受ける 優勝旗
夢に描くは 星飛雄馬
消える魔球の 野球盤
バブル東京 駅ホーム
塔と積まれた スポーツ紙
「原」や「江川」が カラー刷り
「野球」が「野球」 だった頃
「野茂」がアメリカ 行く頃は
夜勤朝酌 大リーグ
衛星画像 ピッチャーで
出らぬ試合を 無駄に見る
振り子打法の キャシャ男
苗字で呼ばず 名で呼ばす
打法を変えて 一安打
イチロー絵巻 開幕し
人のピークを 悟る時
レジェンドその名 刻まれる
相変わらずの テレビ前
彼の閉幕 見届けり
しばし人等の 語り草
51には 神守る
レーザービーム 走者刺す
バッドの軌道 神がかり
ラスト試合の 51
球団側で 後の職
せいぜい檻入る モンスター
彫像化石 ならざればと危惧す

2019/3/21
「旅の宿」をば 発つ頃は
「傘が無い」のに 「なごり雪」
確かに「雨は 似合わない」
「さよなら模様」 「風」が押す
「心の旅」で 得たものは
「岬めぐり」の 「落陽」に
「遠くで汽笛 聞きながら」
「贈る言葉」の 意味を知る
夜汽車に乗った 「花嫁」に
「いちご白書を もう一度」
「関白宣言」 夢に見た
「悪女」のフリも 「愚図」な奴
「季節の中で」 「迷い道」
「22歳の 別れ」時
「白いギター」を 膝に乗す
「ルージュの伝言」 前に置き

2019/3/7
ちょっとお茶でも いいですか?
昭和ナンパの 決め台詞
同伴喫茶に ジャズ喫茶
ノーパン喫茶も 在る時代
タバコ吸っても いいですか?
そんなキザには ご用心
茶店マッチで 火を点す
誰もが小技 仕込みたり
レスカのストロー いいですか?
筒の細紙 こま折りに
魔法かけるは ひと雫
うねる蛇にて 場を作り
音楽かけて いいですか?
ジュークボックス デカボタン
ニュートンジョンに ビージーズ
迷惑顔の 客は見ず
ゲームやっても いいですか?
ブロック崩し インベーダー
ホットが温湯 なる頃は
シュガーの甘さ 増すばかり
今は水出る 定食屋
お茶が出るのは 牛丼屋
回転寿司は セルフにて
お茶の香りは 自販機で
ひとつお茶でも いかがです?
下町風情 甘味何処
歳を重ねた シワの手に
香る湯呑みを そっと乗す

2019/3/5
火曜金曜 可燃ゴミ
所帯じみない 独り者
生ゴミ臭さ 縁無いが
袋を満たす 空パック
今日の天気を 告ぐテレビ
ラッシュアワーの 少し前
業務委託の 特殊車が
飲食店の ゴミを乗す
昭和時代を 知る人は
都民のゴミは 「夢の島」
あと何年で 満杯と
列を成したる 収集車
薬品ガラス 乾電池
分別意識 無い頃に
放棄のゴミが 土地となる
ハエとカラスの 解放区
今はどうなる 「夢の島」
植物館に スポーツ館
都民憩わす 夢語り
豊洲土壌で モメる前
2020は 五輪年
選手村建つ 晴海の地
都心で空が 広いとこ
一本そびえる 四角柱
可燃ゴミなら 燃せばいい
これも一つの 温暖化
他国PM 懸念して
国民意識 綺麗好き
排ガス規制 効を成し
死語となりつつ スモッグも
公害無いと 口外す
ゴミ煙突に 澄んだ空
どの「夢」言うた 「夢の島」
どうせどこぞの 政治家か
尻をぬぐうは 「平成」の
後に生まれる 子孫たち
あぁあぁあぁあ 核のゴミ
あぁあぁあぁあ 核のゴミ
あぁあぁあぁあ 核のゴミ
あぁ日本こそ 「夢の島」

2019/3/1
オシロイ臭い ご婦人の
終わりの見えぬ 長話し
鼓膜の機能 鈍らせて
求める同意 あぁ…うんうん
語る倫理は 自分流
説教くるる 若上司
垂れた頭の 上を過ぐ
あきれ吐息で はいはいはい
仕事関係 笠に着て
ふんぞり返る アブラ顔
自慢話に 尾ヒレ付く
こっちも役者 はーっ へぇーっ ほーぅ
虎の威借りる キツネ人
ネコを被って 逃げの人
誰も仔ダヌキ 古ダヌキ
シッポ隠せぬ ポンポコリン

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