2019/6/25
6月4日 誕生日
6月20日 祖母が死に
線香煙り 消えぬ間に
心の恩師 昇天す
祖母を見送り 5日後に
輪廻の師匠 肉を去る
我れはたかだか 17歳
身体と心 柱消ゆ
師の説法は 浅草の
地下鉄出口 八起ビル
21歳 7日目に
残留思念 残る地へ
あの日も八起 詣でなり
今年も八起 詣でたり
花一輪も 見えぬビル
出入りもキツイ セキュリティー
あの世この世の 違いこそ
実在世界 描写界
相対論に 量子学
祖母と師の愛 ここに有り
還暦歳に 句を残す
悟らずままに 死するとも
来世あなたの 庇護のもと
来世あなたを 師と仰ぐ

2019/6/20
去年の今日は 脳外科で
頭蓋骨には 穴を開け
血を受く袋 枕元
あの世この世と 意識飛び
三途の川で 諭するは
天使天女か 菩薩様
見覚えあるの 近親者
川を渡るに まだ早し
6月20日 死のはざま
何か大事な 記念日は
唯一庇護者の 祖母が逝く
命日日付 重なりし
子種の父は 認知のみ
女の意地で 産んだ母
捨てられあの子 むげねぇーっ(可哀そう)と
扶養者扶養 孫となる
ウンチスタイル 抱っこされ
モーンの恰好 尻を拭き
おぱんちゅ履かず 駆け回る
悪さする手に やいと(灸)乗り
祖母をせかせて 銭湯へ
親の居ぬ子の はしゃぎ声
膝に仰向け 髪洗い
すすぎ耳たぶ 耳の栓
祖母はいつでも 助け人
過去も現世も 未来さえ
窮地の時に 背中押す
腰の曲がった ウルトラの母なり

2019/6/19
60年も 前の事
この世出るのが さも嫌で
見送られつつ 押し出され
難産産道 三次元
50年前 小学生
「自分」が「自分」 この不思議
何故に「自分」と 限定す
「自他」の無き世の 記憶有り
40年は 二十歳時
かすかに開く 霊能は
つまり魂 里帰り
うぬぼれ上手 東京へ
30年では 30歳
煩悩小銭 生き易さ
イエスの喩え 遠くなり
仏陀の教え 遥かなり
20年をば 振り返る
40肩には 膝痛み
高血圧に 尿酸値
特に私用も 無きけれど
ついでに処方 バイアグラ
10年前後 旅人で
この句のネタの 尽きぬ頃
何故かハマった 温泉地
酸ヶ湯裸婦等に 祖母を見る
1年前の 今日日付け
緊急手術 三途川
河原乞食に 諭されて
乗らぬ舟にて 正に今日有り

2019/6/13
頬に小さな 雫受け
見上げ勝るは 雲の足
バックから出す 折りたたみ
仔スズメぽつん 足の元
テレビ放送 居間の絵図
乙女明るく 受け答え
季節外れが 目に付くは
網み掛けぽつん 毛糸玉
無給残業 遅くなり
夏至の時期でも 夕暮れに
自宅近所の 保育園
靴箱ぽつん 立つ幼児
幸せなのか 不幸せ
ドラマと比ぶ 部屋景色
涙もろくは ないけれど
目尻ぽつんと 泣きボクロ
言い争いは 怪我のもと
言葉選べば 追い付かず
優先さすは 非常識
小声ぽつんと 捨て台詞
ぽつんが似合う 人生と
ぽつんと思う 道すがら
ぽつんと止まる 交差点
ぽつんと捨てた 主待つ目や

2019/6/6
梅雨入り前の 銀座道
前行く乙女 歩幅合い
ウインドショップ 目をやるは
ガラス鏡と 直す髪
新入社員 地味スーツ
大人たしなみ デビュー戦
ゴルフショップの 店頭で
中古ドライバ 手に二本
クールビズなぞ 浸透し
薄手の背広 人が来ず
出勤景色 変わりたる
カバンが消えて リュックなり
高層ビルは 丸の内
皇居見下ろす うつけ者
ネット商売 出来る世に
キャパが満つのか 賃貸者
外堀周り 新橋へ
サラリーマンへ インタビュー
左遷転勤 世の常で
ショップ便乗 セールかな

2019/6/4
まさか来るとは 思わずに
来たら来たとて 困惑し
大病せずに 事故合わず
60才の バースデー
伊東さんより 頂いた
とっくり地酒 栓を開け
めでたさかもす 紅白は
ヤッコに乗せる カニカマで
定年制が 曖昧で
年金受給 いつになる
まだ働けと 放り出す
余命が見えず 受け入れり
今日が還暦 パソの前
以前チャットで 会話した
あの面々も 同世代
天皇陛下 ご学友
田舎想い出 同級生
思い浮かべる ニキビ面
マシュマロヘアー 三つ編みは
ハゲか白髪か 金髪か
本当たまたま 伊東さん
手土産地酒 孤独酒
還暦華と 成りたもう
最後の雫 振りてまだ待つ

2019/6/2
婆様負われ 行く風呂屋
園児の頃も 女湯へ
節目迎えて 小学生
これは何じゃの 風呂景色
中学生で 声変わり
オスを意識す 多感時期
悪びれるのも 成長期
大人階段 半歩前
酒もタバコも 二十歳前
ディスコ通いは パンタロン
視線が合えば もめ事に
成人式で 禁煙す
青年時代 バブルの世
濡れ手に金が 付く社会
手相睨んで 金運は
右肩下がり 放物線
中年域で あきらめる
デジタル機器に 追い付けず
若い世代が 眩しくて
お先にどうぞ あける道
四十肩には 難儀して
グルコサミンの 五十代
眼鏡の上に 老眼鏡
処方のクスリ また増える
大きな節目 迎え時
59から 60へ
「時」の流れを 操れず
明後日には 還暦者
5960 ご苦労と
小声つぶやく 独り言
祝いの印 ちゃんちゃんこ
肩に掛け来る 身寄り無し

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