2019/8/30
平成時分 下町は
マニアに知れる 温泉地
上野浅草 墨田区も
薄茶色した お湯が出た
マップ片手の 異邦人
「ゆ」と書くのれん 腕で押す
日本文化を 銭湯で
靴箱木札 漢数字
住み込み宿の 板前は
一番風呂を のがしたる
頑固面した 常連の
爺じい鼻歌 桶の音
温泉記す 掲示額
マジと見入るは 一見者
脱衣するのに 気後れで
気っぷの悪い 脱ぎっぷり
背なに彫り物 職人は
年金世代 昇り龍
張りと脂の 無い身体
龍のまなこも タレ目なり
ジェット水流 膝を当つ
グルコサミンに 出会う前
電気湯舟は 命がけ
血圧クスリ 飲み忘れ
ビルの隙間に 露天風呂
知らぬ同士が 狭い湯で
目が合い会釈 答えれば
にわか話しは もんじゃ焼き
フルーツ牛乳 番台へ
本当はコーヒー 牛乳派
汗が引く間の 憩い時
贅沢ゆるりと 流したり
洗い髪香ぐ ご婦人の
スッピン素顔 赤ら顔
地元人なる ラフな衣は
下がり乳首の 場所明かす
平成令和 節目時
浅草名湯 火を落とす
いつか跡地は ビルと成り
掛け湯の音色 誰が語るや

2019/8/20
透視メガネを 持ってたら
男湯湯舟 湯気の中
曇るレンズで 壁向こう
裸お婆々は 同級生
竹コプターを もらったら
落ちても怪我を せぬ高さ
蜂のムサシは 遥か上
しつこい子供 裾引かれ
タイムふろしき 見付けたら
行きたい時代 幼少期
過去の失敗 改めて
叶わす夢は 何だっけ?
どこでもドアーを 手に入れて
南国ビーチ 秘湯の湯
たまにドキドキ エトセトラ
軽犯罪の 妄想家
四次元ポケット メタボ腹
未来から来た 機械ネコ
過去の人等の 奇怪さも
打ち出の小づち 人は進歩せず

2019/8/15
戦争知らない 高齢者
子供心に 憧れた
アメリカ映画 西部劇
背中側から 射撃せず
砦守るは ジョン ウェイン
参りましたと 手を上げる
悪党どもに 銃向けず
夕日に去るは 騎兵隊
アメリカ正義 麻痺をした
NGカット 許されぬ
都市を空爆 実戦は
医療学校 区別無し
眠れる獅子の 中国と
バリチク艦隊 ロシア軍
連合国家 アメリカに
チワワの日本 吠えて噛む
74年 盆数え
世界と喧嘩 知らぬ子等
皇居見下ろす 丸の内
玉音放送 今日が復興節となり

2019/8/14
隅田の流れ のぼる風
まとわる湿気 潮臭さ
葉桜セミが 鳴かぬのは
近付く嵐 分るせい
言問橋を 渡らずに
隅田公園 遊歩道
絶えること無き 千羽鶴
供えられるは 季節花
派手さに欠ける 鎮魂碑
ここらを焼いた 焼夷弾
浅草仲見世 灰と化す
復興下町 我が棲み家
防空頭巾 幼子が
親とはぐれる 人群れは
あちらこちらで 上がる火に
髪を焦がする 臭い立て
絨毯爆撃 例えられ
無差別攻撃 許された
倫理の抑止 無い時代
ねじれた正義 地獄絵図
全国各地 飛来する
1トン爆弾 降らす鳥
バケツリレーと 竹槍の
日頃訓練 役立たず
今日は9月の 14日
悪夢覚めるに もう少し
熱い痛いを 分かてぬ身
憂う東京 大空襲

2019/8/11
吉田拓郎 「夏休み」
歌える方は 還暦者
時間年齢 逆戻し
汗疹てんかふ 虫刺され
ラジオ体操 六時半
既にうるさい セミ時雨
第二体操 照れ入り
いつも誰かの 笑う声
仏壇前は 華やかに
灯篭提灯 回る影
お供えされた らくがんは
湿気吸いつつ 重くなり
麦わら帽子 ランニング
水中メガネ 虫かごか
今日の予定も 川か山
マムシと蜂が 好敵手
宿題絵日記 後回し
「夏」が子供を 誘うゆえ
日焼けを競う 銭湯で
背中叩かれ 皮が浮く
盆が過ぎたら クラゲ出て
送り火兼ねて 夕涼み
遠目のテレビ ウルトラマン
花火大会 告げる音
意識時計を リセットし
老いた手の皮 点ける火に
煙も重い 夏の部屋
節約エアコン つけぬまま

2019/8/8
♪あんた方どこさ♪ 浅草寺
民族衣装 回教徒
腕にタトゥーは 欧米人
見抜けてしまう アジア系
買い物ルート 境内を
カメラ構える 後ろ側
お邪魔虫なる 夏の虫
写らぬ様に 遠回り
キンキン大声 ハングルが
この夏少し 減ったのは
近親憎悪 本能が
ニュースのネタに 尽きぬせい
憂う来年 五輪年
日本の夏を どう走る
自国民族 熱中症
厳重注意 報道季
打ち水風情 意味知れず
風鈴音色 涼呼ばず
金魚浴衣で 汗引かぬ
文化分かてぬ 外国人
和風わび寂び 取っ払い
日本の夏に 寄せる眉
キンチョーゴキブリ ホイホイの
見事なまでに 日陰捕まる

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