・・・・入院した
その報せを受けて俺は函館に発った
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函館山の麓、木々に囲まれた病院
大きな体でガッハッハと笑う豪快なおじさんだったのだが、今は痩せ細った体で穏やかな眼差しを俺に向けている
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少し照れ臭そうに
「遠くからわざわざ・・・・」
と言いかけると、また元の穏やかな顔に戻った
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末期なんだな・・・・
俺は直感でそう感じた、そして本人もそれを悟っているのを感じた。
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家族の前ではそれを悟らせまいと、退院したら新しくオーディオを買い替えて思い切りJAZZを聴くんだ・・・・と楽しそうに話すのである
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・・・・つらい
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家族は全員医師から病状を聞かされているのだ
そうだね、そうだね、と皆頷いたが、その目には涙が溜まっていた
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「話しがある」
俺を残し、家族は病室をあとにした
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「娘の・・・・」
「娘のウェディングドレス見たくてさ」
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「うちの娘・・・・どっちか・・・貰ってくれないか?」
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おじさんには双子の娘がいる、物静かで綺麗な姉妹だ
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俺でいいのか?
俺にそんな資格があるのか?
俺が函館を離れて5年、イメージだけで「俺」という人間を美化してないか?
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聞けば姉妹二人とも快諾したそうだ
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何度か見かけた位の男と結婚する・・・・
病床の父の喜ぶ顔が見たい一心なんだろう
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俺で本当にいいのだろうか?
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死んでゆく人の願い、それに応えようとする人の願い
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「わかりました、ありがとうございます。」
・・・・それが俺の出した答だ
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しかし
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「年長者を敬う」この常識がある以上、年長者は責任があり義務がある
その義務を無視して、年長者の権利だけを主張するのはどうしようもないクソ野郎だ
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通常なら姉を選ぶべきだが・・・・
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双子の姉というのはあまりに酷であるが、かといって妹を選ぶ理由も全くない。
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ベルが鳴る
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7時25分
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なんだ・・・・夢か
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ちなみに俺と3Pしたい双子姉妹、募集中である。

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