将来の選択肢は年齢と共に加速度的に減っていく
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当然である、俺がこれからJリーガーになる可能性もKAT-TUNに入る可能性も0に限りなく近い・・・・ってか0だろう。
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若さは可能性なのだ。
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今の俺にどれだけの可能性があるだろうか?
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その前に何になりたいか
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なんだろう?
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ミュージシャン?
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何か違う、音楽は趣味でいいな、第一そのレベルではない。
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スポーツ選手?
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それは今やってる、ほとんど収入ないけど・・・・
例えメジャースポーツでそれなりに収入があってもキツすぎる、肉体的にも精神的にも・・・・これを生活の糧にする事の辛さは痛い程わかる。
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ならばアレしかないな
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女子校の教師。
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確か大学に戻って教育課程を履修すれば貰えたはずだよな、女子校フリーパス・・・・いや、教員免許
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何教えるんだ?
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うちの大学だと社会か簿記だろうな・・・・
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俺が得意なのは現国と数1と力学と家庭科なんだけど・・・・
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教師か
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あのヤンキー先生が言っていた「教師とは人を育てる何よりも素晴らしい仕事だ」と
・・・・俺が人を育てる
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よし!止めておこう、俺の背中を見て育った生徒なんて想像しただけでおぞましい、みんな勉強しないで夜遊びに励むか、他人の行動を観察してブログに書いてそうだ
第一、教師なんて生徒の観察の恰好の的だ、「今日、ヨハン先生が○○ちゃんの胸をダブルクリックしてました」
・・・・とか実名で書かれたら大問題だ。
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!!
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あるじゃないか
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俺の長所
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手先が器用
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これを活かした仕事
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手先の器用さが求められる仕事
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タフな男が輝ける場所
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YES!!用務員
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これだ!!
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器用貧乏とはよく言ったもので何の資格も持ってないが、うさぎ小屋の修理とか簡単な大工仕事、自転車、バイクの修理、車も多少なら直せる
ついでに不審者が侵入したら喜んで戦うし、多少の応急救護もする、教師に比べてダブルクリックしても問題にならなさそうだ
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これだよコレ!!
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「女子校用務員、ヨハン・バーンスタイン四世」
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・・・・夏休み、普段は黄色い声でバケツをひっくり返したように騒がしい校内も部活の生徒が多少いるだけで平和である
ソフトボール部の意味不明な掛け声、プールの波しぶき、陸上部のホイッスル・・・・
8月の日差しに真っ暗に日焼けした俺は、坊主頭なのをいいことに蛇口をひねり頭から水を浴びた
「ふぅ〜」
俺はすこし汚れたタオルで乱暴に顔を拭くと、作業着の裾をまくった
タンクトップに膝までまくった作業着・・・・
名門女子校の職員にはおよそふさわしくない格好だがまぁいいだろう、暑さは俺の我慢の限界をとっくに越えていた
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「さて・・・・もう一仕事するか」
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??
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校庭に人だかりができている
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「どうした?」
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覗き込むと、うずくまっている生徒を見て顧問がうろたえている
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「どうしました?」俺は顧問の教師に尋ねな直しがらうずくまる生徒を観察する
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肩がおかしな形になっている、脱臼だな・・・・
うろたえるだけで何もできない教師を払い除け、生徒を寝かせた
・・・・苦痛に顔を歪める生徒の腕を掴み0ポイントにゆっくり挙げる・・・
その0ポイントというのは肩関節が一番不安定な場所、外れやすくハメやすい、確かそんな名前だったと思うが、今は正式名称よりも整復する事の方が重要だ
・・・・特に初脱臼は組織のダメージが大きい、もちろん痛みもだ。
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カクッ
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手応えがあった、無事整復できたようだ
・・・・野次馬の生徒に三角帯と氷のうを持って来させ、一応病院に行ってレントゲンを撮るように言い俺はその場を後にした。
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そして9月・・・・
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夏休み中は静かだった学校に活気が戻って賑やかだ・・・・ってか正直うるさい
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山のようなゴミを片付けながら、あの脱臼した生徒を思い出していた
「ちゃんと安静にしてリハビリしたかな・・・・」
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自分も経験した怪我なだけになんとなく親近感を覚えた。
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そういえば妙な噂を聞いた
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生徒「ねぇ聞いた?2年の○○さん、夏休み用務員のヨハンって人に校庭でハメられて・・・しかも初めてでメチャクチャ痛かったんだってぇ〜」
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・・・・ウム、用務員も辞めておこう。

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