2022/1/19 | 投稿者: sendaikoffeeco

ジョーのこと。

おれたち四人だけの話を、むかし
マンガみたいにちゃかしながら日記にのこしてた。それを転記したものがひとつまえの投稿でした。

あれはほんとうにつらい経験だった。

吐き出してみよう、とおもったのは、年初ヒカルからの賀状に
"あれから30年が経つな" と記されていたことで、ふいにいろいろなことを思い出してしまったせいだ。

メンバーはみんな、個性的、魅力的で、カリスマ性のようなものをもつやつばかりだった。

とりわけジョーは、達観したような柔軟な思考の持ち主だった。ギターの腕前ふくめて、天性の突き抜け方をしていた。

孤高。

にみえた。
そしてそれがジョーらしさなのだ、と思い込んでもいた。
だけど、
みなのたまり場に、いつもいたのは、ジョーだったような気がする。

あいつはバンドが、プレッシャーズが好きだったんだ、とおもう。

いろいろなシグナルに気がついてやれなかったこと。残ったおれたちは、いまだ、どこかでそれを責めつづけている。

ジョーは、
あのバカは、
頭がよすぎて、20年やそこらで、なにかを見切ったような気になって、"お先に" とジンセーをあがってしまった。

おまえの生きた時間の倍以上が経ったぞ。

おれたちはもうすこしこっちで足掻いてから
行くけどよ、
会ったらまず蹴っ飛ばすからな。

ヒマだろうから
いい曲しこたまつくっとけ。

そのくらいには思えている。

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2022/1/19 | 投稿者: sendaikoffeeco

昔むかし、あるところに四人組の若者がおりました。若者たちは、プロのロックバンドになりたかった。その名は「すごいプレッシャーズ」といいました。

ある日、クラスで隣の席のオトコが、「バンドやんない?」「バンド?」「そうロックバンド。プロになろうぜ」マコトは、おれが歌うといいました。ユージローは、ふーんいいよ、といいました。ふたりは、もう少しメンバー集めないとな、と探し始めました。
友達が、ヒカルという、やたらさわやかな男を連れてきました。「おれドラムやるよ、よろしくよろしく」三人はプロが一歩近づいたな、とそれだけで浮かれました。

何日かあと、ジョーという関西弁のオトコが「バンドまぜろや」といってきました。ジョーは異常にギターがうまかった。四人は「これはやばいぞやばいぞ」と一音も合わせてないうちから、プロになった気でいました。

四人はいつも笑ったりケンカしたり、酒飲んだりやんちゃしたり、青春をロックとともに謳歌していました。
「バンド」というのは、まさにバンドのことで、その連帯感がいいな、とユージローは思っていました。それはたぶん、おれたちの絆なのだな、と考えていました。

がんばって練習して練習して、いろんな人に聴いてもらって、だけど、プロになんかなれっこありません。もうおれたちも卒業だ。就職活動するやつもチラホラでてきました。
ジョーは「銀行に面接行ったわ。おっさんエライ怖くていやや」とこぼしていました。ジョーは四人の中で一番プロに近いところにいました。レコード会社の人も「このギターはいける」と言っていました。すごいなジョーは、と三人はやつを誇りに思っていました。

就職が内定するやつがでてきたりして、練習もさっぱりしなくなったころから、ジョーの姿が見えなくなりました。最初は、風来坊のやつのことだからな、とメンバーはあまり心配しませんでした。だけど、しばらく経つと、ジョーの親も田舎から心配して連絡を寄越しました。でもやつはどこにもいませんでした。

ある日マコトから電話がありました。「ジョー死んでた。自殺だ」
ユージローは一日中泣いていました。ヒカルは黙っていました。マコトは怒っていました。

あの時からバンドの一片は切れっぱなし…。

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