先日木曜のレイトショーで「京鹿子娘二人道成寺」というのを観てまいりました。先月の南座歌舞伎遅咲きデヴューでちょっと開眼したかも。「シネマ歌舞伎」というのはこれまでにも何作か松竹が制作しているそうで、歌舞伎演題の映画化、ではなくて歌舞伎舞台全編ライブ中継を高画質・高品位録音で映画にしたものと思ってください。
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/index.html
さて有名な「娘道成寺」伝説、、、御存知の無い方にストーリーを説明しますと、逃げた恋人・安珍が紀伊の国・道成寺の鐘の中に隠れてしまい、姿の見えぬ恋人の恋しさの余り大蛇と化した清姫が、鐘もろとも安珍を焼き滅ぼしてしまうという壮絶なお話(演劇化のオリジナルは能だそうです)。
歌舞伎「娘二人道成寺」は清姫の化身である白拍子花子と白拍子桜子の二人が、新しい鐘の供養をする道明寺に現れ、坊主と問答の挙句、女人禁制だった境内で供養のための舞を踊るという約束で、、、というようなあらすじで、従来は女形二人が時にはソロで時には二人で華麗に舞う、という歌舞伎女形舞踏の最高峰なんですと。
ところが今回主演の坂東玉三郎は新たな解釈・アイディアで演出し、共演の尾上菊之助(ちなみに母ちゃん富司純子、姉ちゃん寺島しのぶ)と二人共が「白拍子花子」を演じ(二人一役)、あるときは陰と陽の分身のように舞い、あるときは逃げる男と縋る女の心理描写を舞い、有るときは二人がぴったりシンクロしたり、綺麗なシンメトリーになったり、、、というもので、高画質カメラの採用、玉三郎がしっかり監修した映像編集もあって、豪華絢爛のひとこと、、、非常に楽しめました。
この企画、録音技術+編集も素晴らしいと思う。二人のすり足、どうかすると衣擦れの音まで聞こえてくるのではないか?というほどの臨場感。竹本連中の三味線、唄も総勢約20名居るのに一本一本ばっちり聞こえる感じ(ツウぶりますと、浄瑠璃と三味線を舞台後方のひな壇上でやる方々のことを「竹本」というのだそうで、中央に座る格上の方は浄瑠璃が竹本性、三味線は豊澤性でした。もちろんその他大勢の長唄、三味線、鳴り物=笛・太鼓も出る)。リード三味線(笑)のおっさんなんか、やっぱりリズム感が抜きん出ている感じで、バチさばきが若手より格好よくて面白かった。
勘三郎主演、野田秀樹演出の「野田版・鼠小僧」も難波の劇場でやるみたいなんで、見に行くかも。多分シネマ歌舞伎に向いてる演題とそうでないのが、あるだろうけど、、、千円ちょっとで1階席かぶりつきの臨場感が味わえるというのはお得感あり、です。


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