2005/10/22

20才の彼女の晴れの日  着物の着付関係(和服)

今日も、朝から晴天で、さわやかな涼しい日となった。また、今日は、天気とは関係ないが、ブログを書き始めて1ヶ月記念日?である。仕事の合間に書き綴って来たのだが、よく毎日続けられたものだ。と感心?している。私は、一応自営で、お客様相手の仕事をしている。その日その日に出会う、お客様の笑顔を見せて頂く事が毎日の楽しみである。お客様にとっての特別の日のお支度を、させて頂く事も多く(これを書くと職業が判ってしまうが)そういう日は、特に光栄に思って、心を込めて仕事をさせて頂いている。
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今日は、暦の上で言うと仏滅、結婚式等のお目出度い行事は、なさらない方が殆どである。しかし今日、20才のお嬢様の振袖姿をお支度させて頂いた。2日前の事だ。1人のお嬢様が、私を訪ねて来てくれた。「今年20才で来年成人式だけど…」とお聞きした時には、成人の日のご予約かと思ったが、彼女の話は違っていた。現在、彼女のお父さんが肺癌のステージ4で、肺炎を併発、前日にお医者様に呼ばれ「覚悟をして置きなさい」と言われたのだと話してくれた。私は彼女の話を固唾を飲んで聞き入った。「成人の日までは、待っていられないので、どうしてもお父さんに見せたいから、此方の都合の良い日に、振袖もレンタルし、着付をして欲しい」という相談だった。更に彼女は昨年12月、お母さんを『ミトコンドリア脳筋症』という原因不明の病で亡くしていた。昨年は、御両親共に入院されていて、彼女が一家の生計を担っていたそうだ。何という運命なんだろう。神様がいるとしたら残酷だ、と私は思った。しかし彼女は、とても明るく、笑顔が素敵で、前向だった。
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私は、彼女の話をお聞きしている内に、彼女のその綺麗な瞳に、引き込まれるようだった。思わず「私の持っている振袖で良かったら、着て頂けないですか?」と言っていた。箪笥から出してお見せした所、その中の一枚を気に入って頂いた。自分の振袖姿を、病床のお父さんに見せたい…そう思われた時に、このお店を選んで下さったのだ。感謝して、着付させて頂かなければと、光栄に思った。昨夜、帯や小物も、組み合わせを、私自らが楽しんで、コーディネイトした置いた。彼女の今の輝きを、もっと輝かせるよう、着付させて貰うように心がけた。今日、彼女は、初めての振袖姿になった。とても可愛く、(お着せした私が言うのも変だが)よく似合っていた。他のお客様も誉めて下さっていた。彼女は少し恥ずかしそうだった。迎に来たスーツ姿の彼氏は、目を見張っていた。そして呟いた。「もう飲み物しか駄目だから、りんごジュースを持って、挨拶に行くんだ」と。彼女のお父さんと会うのは、初めてなのだそうだ。2人の姿が眩しかった。2人は「ありがとうございました」と何度も何度も、頭を下げ、お店を出て、そしてお父さんの入院されている病院へ向かって行った。私は見送りながら、一生懸命、生きている彼女の、お役に立てた…それだけで、お金では買えないものを、私の方が、頂いた気がした。振袖も、箪笥の中で眠っているより、こんな素敵な親孝行のお役に立てて幸せだろう、と、涙が止まらなかった。
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私の友達にも20代にして、同じ一年間に、両親を癌で亡くした子が居る。思い出が多すぎて辛いからと、自宅には住まず、近い所にマンションを買って生活している。今年で13回忌を向かえ、ようやく母親の和服を着たい、という気持になったと話してくれた。そして、「虫干しも兼ねて母親の和服を出すので、寸法とか見て欲しい」と言っている。この秋、休みを合わせて、和服姿で一緒に出かけられたら…とも2人で考えている。私の手元にも、祖母や伯母達の形見の和服がある。このように和服は、何代も受け継いで着る事が出来るのだ。しかし、最近では、箪笥から出して小物を合わせたり、後で沁み抜きをしたり、「手入れが面倒だ」と言う人も多い。でも私は考える。箪笥から出し、小物を合わせ、そして着た後は手入れをして、また箪笥に返す。この流れこそが「心のゆとり」であり、日本人が大切にして来た「雅の文化」なのだと。。。
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2005/11/10  2:58

投稿者:みきさん

すばらしいお仕事をなさっていますね。
関係したすべての人にとって一生忘れられない
一日になったのですね。

着物のケア、確かに大変ですが、丁寧にお手入れすると心までお手入れされたような気がしますよね。
恥ずかしながら、私はお手入れのことに疎いんですが、母や姉が丁寧に着物をケアしているのを見ると、
日本文化の美しさを感じます。

2005/10/24  2:39

投稿者:ほたるさん

今日、御着物一式、返しに来て頂きました。
病床のお父様も、綺麗だと、とっても、喜んで下さったようです。彼が早速、親子で撮った写真を、大きく引き伸ばして、額に入れ、また、病院へ持っていったと聞きました。お父様も気分がよくなられ、今日は、少しだけ、パンを食べられたそうです。嬉しいお話が聞けました。和服って、素晴らしいと改めて、思いました。

2005/10/23  12:01

投稿者:コロコロさん

悲しいけど、心温まるお話、ありがとうございました。
過酷に思える状況で素敵な笑顔でおられるお嬢様、そうした方の親孝
行のお役にたつことができて、本当によかったですね。お仕事とはい
え、ほたるさんの心意気、お嬢様も嬉しかったことと思います。

着物に込められた日本人の雅とゆとり、今の日本人の多くが忘れてし
まった大事なもののような気がします。単なるファッションというの
でなく、大切にされてきた落ち着いた気品とも言えるようなゆとり、
忘れないでいたいな、と思いました。






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