2007/11/21

ボストン美術館No3…クロード・モネ「ラ・ジャポネーズ他」  ボストンの思い出

ボストン美術館に設けられた印象派の部屋…その中でも、一際人目を引いて目立っている絵が、モネがカミーユ婦人に日本の着物(打ちかけ)を着せて1875年に描いた「ラ・ジャポネーズ」(副題:和装のモネ夫人)である。この絵は縦2メートル50センチもあるカンヴァスに、カミーユ婦人を等身大の大きさで描き、モネが如何に日本好きだったか!を象徴する絵でもある。1867年開催のパリ万国博覧会に、日本から出品された浮世絵に魅せられたモネは、晩年を過ごしたジヴェルニーに「私の最高の作品」とモネ自身がこよなく愛した日本庭園を造り、池には睡蓮を咲かせた。そして現在もジヴェルニーのモネの家には、浮世絵が飾られているという。
クリックすると元のサイズで表示しますラ・ジャポネーズ(クリックで拡大)

浮世絵の影響で「ラ・ジャポネーズ」の小道具にもこだわりが見られる。床に敷かれた畳地の上に並べられた2枚の団扇と、壁に飾られた団扇には、浮世絵や日本画が描かれていて興味深い。打ち掛けも、奇抜な侍の刺繍柄から、当時浮世絵に描かれた芝居衣装だと思われる。ポーズは、切手でも有名な菱川師宣の「見返り美人」の影響を受けている。また、反対にカミーユ婦人には、本来黒髪だったにも関わらず、金髪のウィッグをかぶせ、手に持った扇子には、フランス国旗を示す3色を使った虹のような絵が描かれていて、初めは何となく違和感を感じるが、このミスマッチも暫く観ていると、違和感が消え、東洋と西洋が調和しているように見えて来るから不思議である。

「光の画家」と呼ばれたモネは、風景画が多く、人物画は多くないが、カミーユ婦人を描いた作品等、何作か残している。しかしながら今日では印象派の巨匠とされているモネも、カミーユ婦人と過ごした新婚時代は絵が売れない時代であった。その当時絵画は屋外で景色を描くという概念がなく、生計の為に人物を取り入れた作品を描かねばならなかったという裏事情があったという。今では代名詞ともなった「印象-日の出」でさえ、色と色の境目の隙間や、形がはっきりしない筆使いは、嘲笑の的となっていたのである。そんな時代背景の中、生まれたのが、カミーユをモデルにした「緑衣の女」(ブレーメン美術館蔵)であり「ラ・ジャボネーズ」であった。「ラ・ジャボネーズ」は、 1876年開催の第2回印象派展で、2000フランという高値がついたという。しかし、モネの描きたいテーマはあくまでも「外界の光」だった。
振り返る笑顔のカミーユクリックすると元のサイズで表示します 

元々病弱だったカミーユ婦人は「ラ・ジャポネーズ」完成の3年後に、2人の子供を置いて亡くなった。その後のモネは数少ない理解者の援助を受け、旅をしながら光を取り込んだ風景画を描き続けた。中でも「積みわら」「ポプラ」「ルーアン大聖堂」は、光によって刻々と色を変える同じ景色を、連作で描いた事で知られている。モネは、この連作を契機に長い不遇から抜け出し、印象派としての成功をおさめたという。この時モネは既に50歳になっていた。
夕暮れの積みわら(1891年)クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します朝のルーアン大聖堂(1924年)

夕暮れのポプラ並木(1891年)クリックすると元のサイズで表示します

★インクスタンド(1876年 フランス製)
Paul Legrandデザイン Frederic Boucheron製作
1876年に開催された印象派展で、モネの「ラ・ジャポネーズ」の傍に展示されていた。銀製の土台に、エナメルや金を使用し、七宝焼きのような技法で細かく模様が描かれ、ジャポニズムを強く意識した作品である。
クリックすると元のサイズで表示します

インクスタンド側面
クリックすると元のサイズで表示します

※クロード・モネ (1840年パリ生まれ)
ウジェーヌ・ブーダンとの出会いが「光の画家」としてモネの方向を決定づけた。1859年ピサロと知り合い、1862年グレールのアトリエにて、ルノワール、シスレーらと親交を結んだ。1874年第1回印象派展に「印象−日の出」を出品。当時中傷の的となったが、皮肉にもこの作品が「印象派」という名称の由来となる。1890年にジヴェルニーに移り住み、以降1926年に没するまで、ジヴェルニーで製作を続けた。終生印象主義の技法を追求、貫き通した最も典型的な印象派の画家である。


以下、晩年描き続けたモネの代表作…『睡蓮』の2作品
クリックすると元のサイズで表示します

睡蓮(1905年)↑→クリックすると元のサイズで表示します

睡蓮の絵は、水の広がりが無限に見えるように暗示する為、わざと睡蓮を途中で切れるように描いている。モネはしばしばこの形のカンヴァスを使用し、睡蓮と池、睡蓮の葉と花、光をすい汲む水面と反射する水面のコントラストを駆使して構図を作ったという。


※トラックバックは
「スピンさんの欧州便りNo11…晩年のモネが過したジヴェルニー」と、
「スピンさんの欧州便りNo10…モネのオランジェリー美術館」
…モネの庭や睡蓮の大作など貴重な写真が載っています。
0



2007/12/5  5:07

投稿者:ほたる

社長さん、この絵は美術館の中でも、一段と目立っていて、いつも多くの人達が観ていました。

>ほたるさんこんにちは
十一月尽です。明日から師走です月日は早いものですね。

はい。あっという間に一年が過ぎて行きますね。

>モネの絵は良いですね。
自分の好きな絵、画家の中では最高ですね。

優しい気持ちにしてくれます。自然を愛し、絵を愛していたというモネの生き様が伝わって来ます。

>ポプラもとても好きですが「ラジャポネーズ」素敵な絵ですね。

この絵は同じカミーユ夫人を題材にした「緑衣の女」と対比していると言われています。
緑衣の女の方は、ネットで見ましたがバックもモデルの表情も暗く、本当に対照的です。
風景画を描きたかったモネが、お金のために描いた肖像画…しかしモデル代もなく夫人を描いた…
対にして考えると、何か深い意味があるように思います。

>和服、日本庭園と本当にモネは日本が好きだったんですね。

浮世絵の影響を受けて、自分の家に日本庭園まで造ってしまいました。
そしてその庭の睡蓮を描き続けたモネ…日本に来たかったんだろうなと思いました。


☆メリンダ社長さんへ

2007/12/1  0:26

投稿者:melinda

ほたるさんこんにちは
十一月尽です。明日から師走です月日は早いものですね。モネの絵は良いですね。
自分の好きな絵、画家の中では最高ですね。
ポプラもとても好きですが「ラジャポネーズ」
素敵な絵ですね。
和服、日本庭園と本当にモネは日本が好き
だったんですね。

2007/11/23  14:43

投稿者:ほたる

100-400ISさん、ご来訪そしてコメントをありがとうございました。

>こんにちは。
私のブログへお越しいただきありがとうございました。

いえいえ、恵さん宅で、光学ズームとデジタルズームについて、
ご丁寧にご説明頂きまして、ありがとうございました。

>多少、カメラ・写真の事でしたら昔から使っていますので、
私の解る程度のことでしたら何なりと聞いてください。(汗)

デジカメを持っていても、使いこなすに至りません。
どうぞ、今後とも、ご指導の程、宜しくお願い致します。

>海外の美術館は、日本の美術館と違って、色々と撮影が出来るんですね。

はい。フラッシュ無しなら許可している所が多いです。
腕が伴わないので、やはり実物には到底及びませんが、
イメージだけでも、お伝えできたら…と思っています。

>私は絵のことはよく解りませんけど。(大汗)

写真を撮られる方なら、構図とか絵にも共通点があるのでは?
と、どちらも素人で未熟者の私は、思っています(笑)。

>また良かったら、お気軽にブログの方にお越しいただければ嬉しいです。

ありがとうございます。是非、伺わせて頂きます。


☆100-400ISさんへ

2007/11/22  23:28

投稿者:100-400IS

こんにちは。
私のブログへお越しいただきありがとうございました。
多少、カメラ・写真の事でしたら昔から使っていますので、
私の解る程度のことでしたら何なりと聞いてください。(汗)
海外の美術館は、日本の美術館と違って、色々と撮影が出来るんですね。
私は絵のことはよく解りませんけど。(大汗)

また良かったら、お気軽にブログの方にお越しいただければ嬉しいです。

http://eoskissd.exblog.jp/

2007/11/22  10:15

投稿者:ほたる

なんちゃってさん、こんばんは。日本は明日、勤労感謝の日ですね。
此方は明日、サンクスギビング…美術館も科学博物館も、殆どのお店も休みです。

>やっぱり、また行ってみたくなりました。

是非、お越し下さい。

>北斎もモネも素晴らしいコレクションですね。

はい。北斎等のビゲローコレクションは常設展ではないですが、
モネの作品は、豊富に展示されています。
今回、「ラ・ジャポネーズ」と睡蓮以外は、
連作になっている作品のみ掲載しました。

>私が行ったときは、そういう有名どころの展示が
なかったような気がします。

印象派の部屋は、アジア美術とは反対側の2Fにあるので、
もしかしたら、お気づきにならなかったのかも?です。
ボストン美術館の顔と言っても良い位ですから、
私の記憶では、名古屋にモネの絵が11点、来た際も、
印象派の部屋から、モネが全て消えることは無かったと思います。
ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、ドガ、マネ、ピサロ、シスレー
印象派の部屋には、素晴らしい作品が並んでいて、
ガラス越しでなく観られます。初めは「信じられない!」と思いました。
是非、お出かけ下さい。…と言っても簡単ではないですね(笑)

来春、名古屋ボストン美術館にモネの絵が来ます。
「ラ・ジャポネーズ」は来ないようですが、睡蓮は来ると思います。
なんちゃってさんの撮られるモネを見てみたいですが、
やはり、撮影は禁止なのですよね〜。

>なので、ミイラものの走ってしまいました(笑)

一昨日行った時、間違って入ってしまいました。
1人だったので、後ずさり…でした。

>モネの光の捉え方は写真で逆光を利用した風景を
撮影するのにとても手本になるような気がします。
ジャンルは違っても光の捉え方は一緒のような気がします。

そうですね。光の画家ですものね。
なんちゃってさんは「光の魔術師(写真家)」ですから。。

>もっと時間があったら撮りたいものが沢山あるのに
とても残念な、今日この頃です。

はい。美術館に居ると時間が、沢山あってもあっても足りません。
私ももう少し滞在して、時間をかけて眺めて居たいです。


☆なんちゃってフォトグラファーさんへ

2007/11/22  1:42

投稿者:なんちゃってフォトグラファー

やっぱり、また行ってみたくなりました。
北斎もモネも素晴らしいコレクションですね。
私が行ったときは、そういう有名どころの展示が
なかったような気がします。
なので、ミイラものの走ってしまいました(笑)

モネの光の捉え方は写真で逆光を利用した風景を
撮影するのにとても手本になるような気がします。
ジャンルは違っても光の捉え方は一緒のような気がします。

もっと時間があったら撮りたいものが沢山あるのに
とても残念な、今日この頃です。

http://diary.jp.aol.com/gmrktua9gt/

2007/11/22  0:01

投稿者:ほたる

takakoさん、先週の記事まで見て頂いて感激です。

>ほたるさん みなさんこんにちは。
ボストンからのお便りうれしく拝見致しております。

いえいえ。名古屋にもボストン美術館はありますが、
写真はNGですので、本物には適いませんが、此方で撮って楽しんでいます。

>美術館は何時間でも退屈しないタイプです。

私も。。。です。時間があっという間に過ぎてしまいますよね。

>「ラ・ジャポネーズ」のフレームは特別に作ったのでしょうね
フレームに感心しました。

恐らく。。そうだと思います。
このフレームのデザインは、この絵だけに使われています。
蒔絵風ですよね。

>『夕暮れの積みわら』の連作好きです。

はい。全て揃えて観てみたいです。

>ブラシ ストロークも大好きなんです。

takakoさんは、絵画の専門家ですね、流石です。

>フレームがものすごくいいなぁと思います。

額によって絵も雰囲気が変わりますね。
額縁は人の髪型にも、通じるように思います。

>フローレンスの路地裏に泊った
時フレーム屋さんの前だったのですが貧しかったからフレームを買え
なかったのですが、最近絵とフレームに心が引かれます。

額も良い物は、恐ろしく?高価ですよね。

>今まで見た事も無い形の 豪華なインクスタンドですね。

よくぞ、観て下さいました。デザインもですが、細かな模様も凄いです。
私は七宝焼き…と見たのですが、解説には書かれていなかったです。

>『光の画家』も ピサロおじいさん大大好きなんです。

ピサロもありましたよ。また写してきますので、見てやって下さい。

>ほたるさんと一緒に絵を見ているようなブログです ありがとう。

此方こそ、ありがとうございました。takakoさんに愉しんで頂けて嬉しいです。


☆takakoさんへ

2007/11/21  23:53

投稿者:ほたる

はじけ猫さん、風邪は何とかなりました!昨日から此方でもジムに行っていて、
いきなりキックボクシングのクラスに入ってしまい、ヘロヘロになりましたが、
風邪も吹っ飛んだ気がしています。しかし筋肉痛が…(笑)

>ほたるさ〜ん、風邪のおかげんはいかが?

ご心配して頂き、ありがとうございます。前記しましたように殆ど快復しました。

>さて。モネといえば、睡蓮のおじさん。(笑)

そうですね〜。150作以上描いたのですものね。。

>自宅のお庭を日本庭園に変えちゃうほど、
大の日本好きな方でもあったんですよねえ。

そうなんです。ジヴェルニーの様子も載せています。
今も、モネが生前暮らしていた時のように綺麗に維持されているそうですよ。
http://diary.jp.aol.com/applet/tspysjc/20070121/archive

>睡蓮の連作は数多ありますが、微妙な光加減で
一日のうちのいつか、を書き分けているようですね。

はい。光の画家と言われたのは、連作あってこそゆえ…ですよね。

>どうも、食わず嫌いなのか、絵画の印象派は苦手のなか、
モネだけはなんだか馴染めます。

そうでしたか。。私もゴーギャンは今ひとつ。。でもまた好みが変わるかもしれないです。

>(音楽の仏印象派は大好きなジャンルなんですが)

フランス音楽をお聴きになるのですね。
ハープの曲のイメージ…なのですが、無知ですみません。

>油彩のくせに、なんだか不思議な透明感のある
睡蓮に魅せられたのかもしれません。

そうですね。水彩のような透明感がありますね。
コメントを読ませて頂いて、改めて観ると確かに!と納得しました。


☆はじけ猫さんへ

2007/11/21  23:37

投稿者:ほたる

恵さん、ようこそ!恵さんの赤一面の記事…圧倒されました。

>ほたるさん こんにちは〜♪
私も何かで 【ラ・ジャポネーズ】 は見た事があります♪

そうでしたか。。睡蓮とともに、モネを代表する作品ですよね。

>外国の作者でも日本を取り入れてくれた作品だと親しみやすくなりますね

はい。何か懐かしい気持ちになれます。

>うちわまで細かく書いてあると日本人として嬉しくなります (*^-^*)

そうなんです。じいっと、団扇を眺めてしまいました。

>額縁まで 【和】 が感じられる様な気もします♪

他の印象派の絵の額縁とは違いました。
蒔絵とか漆塗りを意識した額縁ですよね。特注のような気がします。

>ところで、高知県に 【モネの庭】 なる所があります
http://www.kitagawamura.net/monet/index.htm

ありがとうございます。
昨年、母が神戸に居る妹と行って来ました。私も行きたいです。

>毎年よさこいを見に高知に行くのですが
目的がよさこいなので 【モネの庭】 を見に行く時間がないんです(苦笑)

ふふっ。私もその時期でしたら、踊りの方に間違いなく!行きます。

>いつかよさこい以外で高知に行ったら是非行ってみたい所なんです♪

はい。是非、行ってきて下さい。楽しみ(自分が行けば良いのですが)にしています。



☆恵さんへ

2007/11/21  23:31

投稿者:ほたる

チェリーさん、微妙にシンクロして驚きました(笑)

>こんにちは。
モネの睡蓮の絵、好きな絵の1つです。

私も大好きです。モネは150点以上も睡蓮を描いたそうですね。
一度、全部揃った所を観て見たいです(笑)

>色彩がやわらかくて、見ているだけで優しい気持ちになれるから不思議です。
日本で最初に出来た西洋美術館の倉敷大原美術館で見た時、吸い込まれるように見たのを覚えています。

そうでしたか。。モネの絵は、本当に優しい気持ちになれますね。
私はカミーユ夫人と子供が、花に囲まれている絵も大好きです。


>>睡蓮の絵は、水の広がりが無限に見えるように暗示する為、わざと睡蓮を途中で切れるように描いている。

>そうなんですか、なるほど、確かにそう言われたらそうですね。そういう風に考えても見ませんでした。

そうなんです。私も最近、ああそうか…と気付きました。

>モネの睡蓮の絵は皆そうなのかしら・・?

普通のキャンバスに描かれた絵は、だいたいそうみたいですね。
そして、モネが最後に描いた力作が、オランジェリー美術館にあります。
この作品が、モネが描きたかった睡蓮の集大成のようです。
以下に、ミラノのスピンさんが送って下さった、オランジェリーの絵を載せてます。
まだ観て居られなかったら、是非、ご覧になって下さい!
http://diary.jp.aol.com/applet/tspysjc/20070120/archive


☆cherryさんへ


※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ