「死刑慎重派の法相、突然の執行 廃止団体「信念曲げた」。」
社会情勢
批判逸らしか、将又売国法案設立への目くらましか、「死刑執行」の本当の意図は?
http://www.asahi.com/national/update/0728/TKY201007280283.html
>前回の執行からちょうど1年。
死刑廃止派とみられてきた千葉景子法相が突然、死刑執行に踏み切った。「自らの命令」と明言し、現職法相として初めて執行に立ち会ったことも公表した。就任以来、執行命令書にサインするかは明言を避け、「国民的議論を踏まえて、道を見いだしたい」と話していた。突然の「変節」に、死刑の容認派、廃止派に波紋が広がった。
昨年の政権交代で千葉法相が就任し、
死刑廃止団体の中には「執行は遠のいた」と楽観する声もあっただけに落胆は大きい。死刑廃止議連の事務局長を務める村越祐民・民主党衆院議員は「どういう変節をしたのか。落選して破れかぶれになったのか。政治家がそう簡単に信念を曲げていいのか」と批判した。
死刑廃止団体「アムネスティ日本」は前回の執行から1年経過したこの日、国民的議論を求める声明を出す準備をしていた。寺中誠事務局長は「執行しておいて、存廃を検討する勉強会を立ち上げるなんて、まやかし以外の何ものでもない」と憤った。
千葉法相が期待を持たせた面もある。昨年12月に面会した日本弁護士連合会から「執行停止の要請で大臣が会ってくれたのは初めて」と驚きの声さえ上がっていた。
だが、大臣の選択肢は少しずつ狭められていったようだ。地下鉄サリン事件にかかわったオウム真理教の井上嘉浩元幹部の上告が最高裁で棄却され、今年1月に死刑が確定するなど千葉法相の就任後も死刑確定囚は増え続けた。
2月に内閣府が公表した死刑制度に対する世論調査では、死刑容認派が85%を超えた。
法務省内には、昨年始まった裁判員制度への影響を心配する声もあった。市民が苦悩の末に決めた死刑が、法相の判断で滞っては、裁判員からの批判が噴出し、制度を根本から揺るがしかねない――。法務省はそんな危機感を強め、幹部が千葉法相への説得を重ねていた。ある幹部は最近、こう語っていた。
「当初はかたくなだったが、最近は少し考える様子が出てきた」