2019/11/11

「ボーダー2つの世界」2019年スウェーデン、デンマーク  今日の映画

 北欧の映画だと、やみ深い森や陰鬱な空のもとで疲れ切った男が主人公みたいな偏見があるけど、今回は醜い女性が主人公。だが、ストーリーは意外にも猥雑な生命力に満ちた、力があふれるものだった。ただ、決して美しい話ではないが。

 港の税関で働く女性ティーナは、人々の感情を匂いとして嗅ぎ取る能力を持ち周囲から一目置かれていたものの、醜い容姿というコンプレックスを持ち、同居者であるローランドにも心を開かずにいた。ある日ティーナは税関で幼児ポルノを摘発し、それをきっかけに警察の捜査に関わっていく。
 そして、税関に現れた謎の男ヴォ―レ。ティーナはただならぬにおいをかぎ取りボディーチェックをするが、何も出てこなかった。ヴォ―レに惹かれていくティーナ。それは、彼女の運命を大きく変えることだった…。




 今回はサスペンスとして始まつが、最終的にはダークファンタジーとなっていく。北欧に生きる妖精トロールというと思わず「わーい、ムーミンだー」という事になってしまうが、今回は人間によって虐げられてきた民族の暗い復讐という重いテーマを持っている。

 ティーナはヴォ―レによって自分の本当の性、本物の生きる喜びを知る。この2人のラブシーンはほとんど殺し合いとも言えるような激しさと生々しさ、そして美しさがあった。これは、この2人が美しい自然の中で自然の営みをしているからなんだよね。

 しかし、ヴォ―レは人間への復讐者という面を持つ。ティーナが捜査している幼児ポルノとヴォ―レとのかかわりが見えてくると、ティーナの感情は揺れ動いていく。ティーナは自分の生まれを知らず、人間の世界の片隅で生きてきた。そして、その片隅が別の世界との境界線だという事をヴォ―レに教わった。しかし、ティーナは別の世界の闇をヴォ―レの中に見ているんだよね。そして、ティーナはこの境界線にとどまることを選ぶのである。

 今回の映画では、トロルの側の世界は見えない。しかし、ヴォ―レが最後にティーナに残したものを見ると、決して闇だけの世界ではないような気もする。いつの日かティーナも別の世界へと去っていくのかもしれないと強く感じされた。それはムーミン谷の様な素晴らしい世界かもしれないが決して人間が踏み入れられる世界ではなく、フィンランドの深い森の中にのみあるものなのだろう。
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タグ: 映画



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