2020/1/26

「パラサイト 半地下の家族」2019韓  今日の映画

 今回は今年上半期を代表する大物の映画。今まで韓国映画がカンヌを取っていた無かったのは意外だったけど、米アカデミー賞まで取ってしまうかもしれない。実際見に行った人は大絶賛の嵐で、断片的にネタバレも聞こえてきてしまったので、慌てて鑑賞。
 評価にたがわぬ、素晴らしい作品だった。

 両親と兄、妹のキム一家は父親の事業の失敗により極貧にあえいでおり、半地下の住宅に住んでいた。ある日、兄のギウが友人の代わりに学歴を隠してIT社長の一家の娘の英語の家庭教師に着く。やがて、妹のギジョンも同じ家で男の子の美術教師に、さらに両親も運転手と家政婦として入り込む。こうしてキム一家は収入を得ることになったが、その家に隠されていた秘密が現れたことで窮地に陥ることに…。




 作品のテーマから言って、この作品の前回のパルムドールである「万引き家族」を思い出させるが、同じテーマなだけに日本と韓国の違いが際立ったような気がする。
 まず、貧困に対する視線の違いである。万引き家族においては貧困に窮している家族の方が人間性を保っており、生活能力は無に等しい家長である父親は見知らぬ子供を受け入れる余裕を持っている。しかしパラサイトにおいては家族全員が機会があれば優秀な詐欺師になるような能力を持っているのにもかかわらず、貧困により人間性を失おうとしている。そして、富裕層の家族は人間性も兼ね備えているのである。
 こうして考えると、パラサイトの方が貧困に対する視点が厳しく、絶望的でもある。この一家は十分な能力がありながら、機会が無いために貧困にあえいでいる。そして、このような描き方が韓国において非常な共感を持って受け入れられているのである。日本では「こんな詐欺が上手いならまっとうな手段で食っていけるのでは」という感想が見られるが、韓国においては、というより日本においてもこの方が実相に近いだろう。

 しかし、韓国映画はなんでこんなに劇的な展開が似合うんだろう。多分、人物描写は万引き家族の方が綿密だし、パラサイトの方は類型的ですらある。しかし、類型的な人物がカリカチュアと思えるような大げさな出来事と悲劇を経験することで、むしろ普遍的な物語になっているのである。万引き家族においては自分を投影する人物はいない。しかしパラサイトにおいては誰もが「この登場人物は自分に似ている」という感想を持つと思う。

 今年に関しては強力な作品が少ない事から、この作品がアカデミー賞を取るかもしれない。しかし、この作品が十分な共感をもって世界中に受け入れられるというのはどうなんだろうとも思う。
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タグ: 映画



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