2020/6/15

「デッド ドント ダイ」2019米  今日の映画

 今回はジム・ジャームッシュ監督のゾンビ映画。自粛明けの映画の中ではこれと「若草物語」「ランボーラストブラッド」あたりが注目作なのかな。レイトショーもそろそろ始まるみたいだけどまだまだ本調子とはいかないらしく、立川の初日でもそれほどには入っていなかった。

 しかし、今の状況で見ると、考えさせられる映画だった。

 アメリカの片田舎センターヴィル。警察官が三人しかいない平和な街で、街唯一のダイナーの従業員が内臓を引きずり出された形で見つかる。おりしも日没の時間はズレはじめ、電子機器も壊れ始めた時の出来事だった。
 やがて、町中の死者が蘇り人々を襲い始める。警官たちをはじめ生きている人々はそれぞれに生き残るために活動するのだが…。



 最近のゾンビ映画は単なる恐怖というよりは明確なテーマを持つものが多く、例えば「アイアムアヒーロー」であれば主人公が初めて状況にあらがう所がカタルシスだし、「新感染ファイナルエキスプレス」であれば利己的な主人公が初めて利他的な行動を取るところだろう。しかし、今回の映画ではそのようなカタルシスはついに来ることはない。なぜなら、主人公たちはこの状況の当事者ではないからである。

 この物語には、物語世界の真実を知っている人間が3人いる。そのうち一人はこの物語世界においても絶対的な力を持っており、その余裕は裏付けのあるものである。しかし、後の二人は世界の真実を知っていることは、物語世界での彼らの運命を助けない。彼らはその運命を受け入れるしかないのだ。
 この映画のゾンビは生前の欲望をただ追い求める存在になっており、死してなおWi-Fiの電波を探しているゾンビには笑ってしまった。ファッションとかスポーツなんかも洒落が効いている。しかし、真実を知るだけで行動には移せないこの2人こそが、今自分が置かれている姿に一番近いような気がするのだ。

 アダム・ドライバー演じるロニーはこの物語では最も賢い。しかし、結局役にたった知識は「頭を狙え」だけだった。いまのコロナ禍の中にいる我々も色々な知識を探しているけれど、結局重要な知識は当たり前で、誰でも知っている事なのかもしれないな。
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タグ: 映画



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