2020/8/2

「パブリック 図書館の奇跡」2019米  

 今回はエミリオ・エステベス監督、主演の映画。エミリオ・エステベスと言えばブレックファストクラブの二枚目だけれど、個人的にはヤングガンが好きで、特に2の破滅していくビリー・ザ・キッドは印象深かった。いろんな人がやってるけど、エミリオ・エステベスがベストのキッドだと思うのだ。

 映画館でエミリオ・エステベスを見るのは久しぶりだけど、年を取ったしおじさんになった。しかし、そのカッコよさは何一つ変わらない。

 スチュアートはシンシナティの図書館で図書館員として働いている。そこは誰にでも開かれているがゆえにホームレスたちの避難場所ともなっていた。ある大寒波の夜、ホームレスのリーダー、ジャクソンは「今夜、ホームレスの為に図書館を開放しろ」と要求する。スチュアートは彼らの要求をかなえるために動くのだが、警察や検事、マスコミなどの思惑によりその行動は暴力的な行動として扱われていく。そして、警察の突入が迫る中スチュアートがとった行動とは…。



 今年はコロナウィルスが最大の問題になっているけど、本来は上半期の最大のニュースはブラックライブスマターになるべきだった気がする。しかし、普通の人がカジュアルに抗議しているインスタや冷静なラジオのニュースと異なり、テレビやネットの見出しは派手なものが多く、いかにもデモが暴力的なものとして扱われていた。しかし、この小さな、しかし真摯な、しかもユーモアにあふれたこの映画がこの年に公開されたことは素晴らしい事だと思う。

 この映画では、ブラックライブズマター運動で、一体だれが危機に陥っており、どのような抑圧を受けており、それに対してどのように抗議しているのかが感覚的にわかる。なぜ、デモをしなければいけないのか、なぜ不法占拠を行ってまで抗議をしなければいけないかかが、だれもが行くような空間を舞台に描かれているのだ。
 そして、エミリオ・エステベスはここでも孤高のアウトローであり、最高のヒーローだった。彼が最後に撮った行動は「グラントリノ」のイーストウッドに重なるといえば言い過ぎだろうか。そして、それを受ける刑事アレック・ボールドウィンの表情も忘れられない。怒りが呆れとともに消え、最後にはスチュアートの行動に敬意を持つ、これをちょっとした表情やセリフだけで示すのだ。そして、今回の悪役である検事(クリスチャン・スレーター)も憎めない。ホームレスの要求をまずやってみる、この人ななぜかこの後はこの経験を生かして政治家として成長するようにも見えるのだ。

 そう、この映画でのエミリオ・エステベスの視点はあくまで優しい。そして、今起きていることを、誇張やレッテル張りなしに、素直にユーモアを持って見てみろという力強いメッセージがあるのだ。それはもう一人の悪役であるキャスター、レベッカにも届く。
 この映画での主要女性キャストは3人ほどだが、みんな印象に残った。特に、アパートの管理人、アンジェラは良かったなあ。この人、オレンジイズニューブラックの人だけど、今回はすごく柔らかい役だよね。
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