2020/8/17

「ブラックアンドブルー」2020米  今日の映画

 今回はナオミ・ハリス主演のサスペンス。新人警官が古参の警察の腐敗と戦うという話はもう定番というぐらい沢山あり、今年も「レ・ミゼラブル」という傑作があった。正直これらの名作群と比べるのは分が悪いものの、中々スリリングな佳作だった。

 退役軍人のアリシアは故郷のニューオリンズに警官として赴任する。あるパトロールの際、麻薬課の警官が売人を処刑しているのを目撃してしまう。アリシアの持っているボディカメラにはその映像が残されており、警官たちはアリシアからカメラを奪うべく追ってくる。アリシアは警察からも、警察を信頼しない地域の住民からも支援を受けられず、孤独な逃走を開始するが…。



 こういうタイプの映画だと「黒人ってギャングしかいないのかよ」と突っ込みたくなるようなものも多いけれど、今回はそれを逆手に取った演出をしている。今回は警察も、地域住民もアリシアにとって誰が敵でだれが味方かが分からなくなっている。その為、不信感から高圧的に相手を制圧することの理由が分かってくる。「だれが味方か」が重要な世界では、たとえ不正であっても味方と同じ行動をすることが重要なんだよね。その為、正義の為とは言えブルーつまり警官を裏切ったアリシアに対して、ブラック、つまり黒人社会も不信感を抱く。この不信感をほどくためにアリシアは文字通り命を張ることになるんだけれど、彼女が信頼を勝ち得た瞬間に最大のサスペンスは終わることになる。

 バックとなる黒人差別、もしくは黒人恐怖症ともいえる問題は厳しく、この映画でもその厳しさは物語の中心と固く結びついている。自分の携帯がなければ警官であっても他人に連絡を依頼することすらままならないのが現実なのだ。この映画ではその不正義を声高に訴えるようなことはせずにあくまで物語の背景、言ってしまえば主人公が危機に陥る一要素として使われている。しかし別にこれは悪い事ではなく、このような娯楽作においては正しいし、不条理を訴える強力なメッセージにもなっているのだと思う。
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タグ: 映画



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