2020/10/12

「地獄の黙示録 ファイナルカット」2019米  今日の映画

 極音でおなじみの立川シネマシティだけど、何かを見に行った時に「極音サイレンス」という見慣れない看板が。どうやらこの為に特殊なウーファーをレンタルして耳に聞こえない環境音までも再現したバージョンらしい。かかっている地獄の黙示録は昔テレビでかなりカットされたバージョンを見ただけだったので、これはいい機会かもと思って鑑賞。通常料金プラス千円の価値はあったのでしょうか。

 陸軍空挺将校のウィラード大尉は、将軍から元グリーンベレーの英雄カーツ大佐の暗殺指令を受ける。かれは戦場から離脱しカンボジアで現地人を率いて王国を作っていた。哨戒艇にのってカンボジアに向かう大尉。しかし、川をさかのぼるごとにサーフィンの為に作戦を決める指揮官や指揮官も目標もなくただ戦う部隊、混乱に満ちたプレイメイトの慰問など混沌とした現実を見せつけられる。そして、目的地にてカーツ大佐と対峙するのだが…。



 まず、千円プラスの効果があったかというと800円ぐらいまでは回収できたかな、という感じ。特に最初の公開時の目玉であったドルビーサウンド導入を誇示するかのようなヘリの旋回シーンから始まり。「朝のナパームは最高だ」の名台詞とともに焼き払われるジャングルなど震えがくるようなシーンだった。また、次のシークエンスであるプレイガールも音楽ライブシーンでもあることから本当に入り込めた。しかし、後半に連れて映画が混乱するとそのような綿密な音響設計は失われていく。

 実はこの映画のメイキングである「ハートオブダークネス」は見ており、予定を大幅に超過した撮影の混乱は知っていた。それを踏まえてみると川を上るごとに迷いを増していくウィラード大尉の心を映すかのように急激に映画が現実感を失っていくことが分かる。正直、どこまでがコッポラの意志でどこが失敗なのかよくわからなくなっていく。
 そして、カーツ大佐。テレビで見た時は全然見えなかったのだが4Kリマスターで見てみると、明らかにマーロン・ブランドの目は泳いでいる。この時彼はやる気を完全に失っていたそうだが、図らずもそれはカーツの心境に重なるのだ。

 この映画を見た最終的な感想は「やっぱりよくわかんねー」だった。たぶん20年前のディレクターズカットで見ていたら、分からないことは許されないとの一心で文献を読み漁ったかもしれない。でも、今はこのわからなさを抱えたままこの映画を終えたい。頭がおかしくなるほどに苦しんで戦争を描いた作品は、おのずと理解が及ばない映画になるような気がするし、ベトナム戦争を描く一つの正解だとも思うのだ。
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タグ: 映画



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