昭和ゴジラシリーズの最終作、本多猪四郎監督の遺作。
重く暗い雰囲気、本多監督が好んだという「ロミオとジュリエット」風の悲恋。
前作でのメカゴジラ人気から製作された続編だが、子供に媚びない作風となっている。
製作当初よりシリーズ終了が決定されていたといい、それが随所見て取れる。
ゴジラを第1作のイメージに、というのもスタッフ間で意識されていたのだそう。
ゴジラのテーマとして初代ゴジラのタイトル曲のメロディが使われているのも伊福部先生の考えではなく、スタッフの一人所健二氏に乞われてのこと。
本多監督の起用、芹沢博士と対比される真船博士を演じる平田明彦氏、製作発表後に改修され凄みが出たゴジラ等、1作目を意識というのはここら辺を指すのだろう。
なお漁港で網を繕っている女性は初代ゴジラで長崎から命拾いして来たというお姉さん。
これも1作目を意識した結果かな?
脚本の高山由紀子さんは本作がデビュー作となるシリーズ唯一の女性脚本家。
最初のシナリオは長すぎ、改稿に改稿を重ねて決定稿が書かれたという。
初稿がどんなものだったのか、読んでみたいものだ。
メカゴジラはまったく違ったキャラクターとして復活。
前作では意思を持ったロボット風に描かれていたが、
本作のメカゴジラは意思を持たない。
桂とつながってはじめて稼働する。
チタノザウルスがゴジラをいたぶる間も無駄な動きをしない。
そのたたずまいがいい。
そういった意味では、ヘッドコントロール装置がむき出しになった状態こそメカゴジラ2を端的に表していると言えるか。
ゴジラスーツも良く見るといい味を出している。
顔のアレンジは秀逸だ。
ドカ靴状態の足と丸い背ビレを直したらだいぶ見違えるんじゃなかろうか。
伊福部先生の美しい旋律の曲にのって海に帰っていくラスト、
メインのスーツを使ってたらよかったのになあ・・・。
気になるシーンが無いわけではない。
チタノザウルスのおしりフリフリ。
投げられたゴジラやMG2のいかにもレールで動かしてます的な挙動。
後者は、平成シリーズやミレニアムシリーズでも臆面もなく出てくる東宝特撮の弱点。
もう怪獣を投げるな!と切に主張したい。
都市破壊シーンやチタノザウルス、ほかにも書きたいことがいっぱいあるのだが、書きつくせない。
ぜひ子供が助けを呼んだら参上するゴジラのシーンなどを毛嫌いせずに本作を楽しんで欲しいと思う。
オイラはこの文を書く前に4、5回DVDを観てしまった。
おかげで実は1個順位を繰り上げてます(^^;
さて今回、本作をwikiで調べた際に知ったのだが、真船家に仕える老人役の沢村いき雄氏は本作公開の昭和50年に逝去されている。
特撮映画ではちょっと場を和ませる小市民的な役回りが多かった方だが、本作ではあやしく不気味な老人役を好演されている。合掌。

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