「アプタンを思い出したB」の続きです
私は一緒に住める日を心待ちにするようになりました
そして数日が過ぎたある朝、電話が鳴りました
「全身麻酔から目覚めることなく死んだ」
という事を知らせる先生からの電話でした
アプタンの体力は完全に回復していなかったので
こういうことも想定内の範囲でした
だけど、手術をしなければいつまでも退院することは出来ない
猫白血病に対してもケアが出来ない、など
いろいろなことを踏まえた上での苦渋の決断でしたが
まさか最悪の結果になるなんて・・・
病院に着くと
動かなくなったアプタンが
段ボールの中で横たわっていました
そして、そこに一輪の赤い花が捧げられていました
あんなに元気になっていたのに死んじゃった
私はその場で大泣きしました
たった一晩だけの付き合いでしたが4月29日に拾ってからの5日間
私にとってかけがえのない存在になってしまっていたのです
そして5月4日はアプタンの命日でした
その一ヵ月後、たまたま見つけた子猫(捨て猫or野良猫?)
それが今のマーブルとブランシュです
アプタンと出会わなかったら
絶対にマーブルとブランシュを拾うことはありませんでした
ペット不可のアパートで飼おうなんて発想がそもそもないし・・・
だけど拾ってしまった
子猫の可愛さを知ってしまったのも大きな理由になりますが
それよりも、アプタンの様な思いをする猫を
少しでもなくしたいと思ったから
と言ったら、ちょっとかっこつけでしょうか
足で蹴り上げられたであろうあごの骨折と、猫白血病に侵された体、
潰瘍だらけの口の中、激痛やすごい臭い・・・
一体どのくらいの期間一人ぼっちで過ごしたのだろう
今でもそのことを思うと涙が出ます
マーブルとブランシュを拾うときも、そのことが頭をよぎりました
私が拾わなかったら酷い目に遭うかもしれない・・・
そう思ったら拾わずにはいられませんでした
そしてそれから2年あまり、両親や姉妹にも秘密にして
マーブルとブランシュを育てたのでした
でもその後、アプタンは私の元に帰ってきたのです!
台所に立ってると、猫がスリスリする感触が何度もあったり
カリカリを食べる音やトイレの砂の音、
マーブルがその音に反応したこともしばしばありました
数ヵ月後、そのような現象もなくなったので
きっと天国に旅立ったのでしょうね
いつまでも大好きだよ、アプタン

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