大学の同級生から疲れた声で電話が来た。
「子供ができた」
俺ももう30歳、今まで色んな奴から報告されてきている事だ。
・・・でも今回は特別だ。
そう、特別なのだ。
卒業後、ほとんどの友達は年2〜3回しか連絡しないのだが、奴とは今でも週2〜3回は連絡をとっている。
特別なのだ。
・・・
「一番の親友が神様から新しい命を授かって、わたしホントに嬉しい!」
・・・っと口ではいいながら心の中では
(なんでこの子わたしよりブスのくせに結婚して子供までできてんの?信じられなーい!キー!!)
・・・いや、そうじゃなくて。
奴は年は2コ上だが同級生、奴と俺はバンド仲間だったが、卒業後も同じ会社で働いていた。
少し照れ臭いが、お互いに認め合っていた。
バンド時代は俺が曲を作りあいつがギターを弾き、就職してからは商品の情報を交換し、売上を競っていた・・・
そして二人ともダメ人間だった。
俺がエアガンを持って追い掛ければあいつは老人ホームに逃げ込んだ・・・
俺が酔って吹雪の中で寝れば、あいつは「うんこするのめんどくさいからオムツ買ってきて」とわがままを言った・・・
・・・とにかく俺達は質はちょっと違うが、周囲から「ダメ人間」と認知されていたのだ。
そんなあいつが親になるなんて・・・
・・・
・・・結局「わたしのほうが!キー!」なのか?

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