宇宙兄弟を追いかけて

2018/12/3 | 投稿者: sendaikoffeeco

ここ数年で一番の感動だったかもしれない。
その瞬間、涙はなんとかこらえたけれど、
鳥肌がとまらなかった。



店によく遊びにきてくれていた男子大学生がいた。

そのころは
開業したてで、たいしてお客もこないし、
どことなく気の合った彼とは、他愛のない話しをよくしていた。

彼女についてや、
学業と、そのころ彼がうちこんでいた運動部との両立についてのなやみなんかも
ときどきしたものだった。


コーヒーをすすりながら
マンガを読んでいることが、たびたびあって、
なにを読んでいるのだ、と聞くと
「宇宙兄弟」
と彼は答えた。

めちゃくちゃ面白いから
田村さんもぜったい読んでほしい、と彼は大まじめなカオで言い放っていた。


そういや、いつだったか
「将来はJAXAへすすみたい」

そう未来的展望をおしえてくれたこともあった。


彼が持参する大学の教科書をのぞくとそれは、

日本語とアルファベットと数字で
書かれているにかかわらず、
まったくもって、なにを表現しようとしているかの皆目検討つかないほどの
意味不明なもので、

彼は一生懸命、それらを解読すべく
むむむ、という表情で向き合っていたものだった。


ふだんは馬鹿なヨタ話ばかりしているけれど、
こいつは意外とアタマいいのだな、とおもったことを覚えている。



卒業して、どこか遠くへ就職して、
いずれ音信も途絶えてしまう。

店へ通うほかの多くの学生とおなじように
たくさんの時間がながれて
いつしか彼とも疎遠になっていった。


少し前
LINEのリストをながめていたとき
彼のアイコン写真が変わっていたのに気がついた。


何気なくひらいてみると、
口髭をはやし、
工学用のようなサングラスをして
薄いブルーの作業着をまとった彼が写っていた。


よくみると肩には 「NASA」のロゴ。



はじめは
宇宙大好きな彼が、冗談でコスプレでもしているのだろう、とおもった。

けれどいやまさか、、

だんだん気になってきて、数日すぎたところで、ついに連絡を入れてみた。


「うわ田村さん
お久しぶりです!
頑張った甲斐あって
いまNASAで働いています!」

そう返事があった。

日本人としては10人目の快挙だったという。



すごいな!
頑張ったな!
おれも負けないようがんばる!

コーフンと感動で震えるゆびで、
かろうじてそう返信した。



すると
やつはすかさず
ヒビトのスタンプを一発返してよこした。



リアル宇宙兄弟かよ
カッコ良すぎだろ


すこし笑って、しばらくそれを眺めていた。


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