くつした物語

2021/5/31 | 投稿者: sendaikoffeeco

在京のOBユカから、読んでみてほしいと、おくられてきた新作の小説を、ここ数日は、夜更けのキッチンで、ワインをのみつつ、少しずつ、かいつまみ楽しんでいました。ハナシのおしまいが訪れるのを惜しむみたいに。

物書きのヤボーをひそやかにもつ彼女の処女作にショーゲキを受けたのが、ちょうど一年前のいまごろ。

定禅寺の木立も、すこしつづ強まってくる日差しに青さが比例してくる候。

今回は、くつしたと光の怪人?笑
の物語。

40がらみの町医者の部屋からはじまる序章。
描写がたんねんで、ユカワールドが映像となってあらわれるよう。
前作でもたくさんおどろかされたけれど、その想外な設定に、あいかわらずだなあ、とわらってしまった。

ありふれた日常。
遠くて近い特別な風景。
せつな的にもみえる、ひとびとの営み。人生。

淡々とした出だしから、軽やかに愉快へとかわる中盤。
そこから急旋回するように、内省的な含みが加わる後半部。

独特のプロットと着眼点。
ユカらしい好奇心で描かれていました。

絵本のようなファンタジーの形はとっているけれど、いまこの瞬間を生きる青年ユカの自問自答が、彼女がずっと失わずいる純粋さと、そこから推し広げることができる思慮深さでもって形づくっていったリアルにもみてとれます。

下町育ち。生粋の江戸っ子であるユカが表現した舞台となる東京のまちも、手触りや余韻が感じられてよかったな。

いつか杜の都をステージにした物語もみてみたいね。

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